入職前はどのように過ごせばいいのでしょうか。「試験から解放されたからゆっくり過ごしたい」と思うかもしれませんが、少しでも早く仕事に慣れるためにも、前もって勉強しておくと現場で戸惑うことが少なくなるでしょう。
まずは現場に出たらすぐに使う基礎看護技術を復習しておきましょう。入職後は疾患の勉強や課題などもあり、思っているほど時間はとれません。事前におさらいしておくと少しですが、余裕ができます。
入職前におさらいしておきたいのは、問診・視診・聴診・打診・触診などの基本のフィジカルアセスメントです。入職してすぐに実践することになりますので、その場で慌てないように手順をもう一度振り返っておきましょう。教科書で学んでいても実際に患者さんを目の前にすると混乱してしまう可能性があります。すぐに確認できるようにメモにまとめておくといいでしょう。
病棟に配属されることを想定して、活動・清潔の援助の手順も確認しておきましょう。活動・清潔の援助は、病棟で毎日頻繁に行われています。実施する機会がなかったこともあり手順を忘れている可能性もありますので、必ず復習しておきましょう。特に頻繁に行うのは移動や移乗の介助、体位変換、清拭・陰部洗浄、おむつ交換などです。やっていくうちに慣れてきますが、手順が頭に入っていると現場でスムーズに動くことができます。
患者さんの様子を観察し情報を集めるためには看護知識に基づいたアセスメントが必要です。基礎看護知識も事前に確認しておきましょう。基礎看護知識とは、脈拍・血圧・呼吸・体温などのバイタルサインの基準値や血液検査の基準値のことです。現場では先輩看護師から「値が正常かどうか」を確認されることがあります。よく聞かれる項目は事前に復習しておきましょう。
バイタルサイン測定は患者さんの状態をチェックするのに欠かせませんが、ただ測定するだけでは不十分です。正常な値と異常な値についても知っておきましょう。脈拍・血圧・呼吸・体温、それぞれの基準値と異常値をメモしておきましょう。
様々な検査がありますが、その中で最もよく行われているのが血液検査です。病棟ごとにチェックする項目は異なりますが、栄養状態を確認する「総蛋白(TP)」「アルブミン(Alb)」、炎症を確認する「白血球数(WBC)」「CRP」、電解質を確認する「ナトリウム(Na)」「カリウム(K)」、血液凝固を確認する「プロトロンビン時間(PT)」「Dダイマー」は特に覚えておきたい項目です。教科書を書き写したり、コピーしたりしながらなるべく暗記しておくようにしましょう。
試験に合格しても就職先が決まっていなければ看護師として活躍できません。看護師の求人は膨大にありますが、希望を伝えるだけで条件に合った求人を絞り込んでくれる転職エージェントなど便利なツールを活用するといいでしょう。
試験対策に有効だとして多くの人が活用しているのが問題集です。問題集は様々な会社から出版されていますが、解説が充実しているものを選ぶようにしましょう。解説をよく読むことで理解が深まり、同じミスを繰り返さなくなります。
看護師国家試験はここ数年大きな変動はありません。ただし、写真などの視覚素材を利用した問題が増えてきています。問題数はそれほど多くありませんが、確実に点数を獲得するために教科書や参考書の資料写真にもよく目を通しておきましょう。